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西澤会長の 「ちょっと寄り道」 その8
今回は、今流行りのインターネット山行と当会の山行について、組織論をベースに比較してみたい。
バーナードは組織が成り立つために必要な3つの要素を、
① 共通の目的をもっていること(組織目的)
② 互いに協力する意思をもっていること(貢献意欲)
③ 円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)
と掲げている。これを基に両方の山行を比較すると、下表のとおりとなる。
インターネット山行 当会の山行
①組織目的 共有する目的は、「登頂」である。 必ずしも「登頂」が唯一の目的で
その意味では参加メンバーは目的を はない。
共有している。 むしろメンバー全員で行動することが
優先される。
②貢献意欲 「個」と「個」の集合体であり、 会における山行の基本中の基本である。
協力する意思は希薄である。 貢献意欲が高い。
「個」の意思が優先される。
③情報共有 初対面であることが多く、円滑な メンバー間のコミュニケーションは
コミュニケーションは期待できない。積極的に行われている。
このように見ると、インターネット山行は、組織として成立していないことがわかる。あくまでも「個」の集合体であり、極論すれば烏合の衆ということもできる。
また、インターネット山行の場合は、メンバーの経験、実力は未知であり、登山に対する危険性の認識が同程度のものであるか判断ができない。したがって、仮に事故等があった場合に、その責任について争いになる可能性が高い。
インターネット山行が増える背景としては、特に近年の若者を中心として「個」、「個人」が優先され、「仲間」、「同好会」等で束縛されることを嫌う傾向があることも一因であろう。今の子どもたちがゲームに夢中になっている姿を見れば合点がいく。社会全体の人間関係が希薄になっている。
翻って、当会における山行が「ツアー化」しないためには、改めて組織の3つの要素について見直してみることも必要でしょう。
蛇足は、最近のホッとするニュースについて。(このコラムは8月末に作成)
2歳になったばかりの男の子が3日ぶりに無事に発見されたニュース。ボランティアの男性の姿勢にも頭が下がるが、発見される前日の母親の悲痛な訴えには胸を締め付けられた。「かあちゃん」の必死な思いを神様が叶えてくれた。