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西澤会長の 「ちょっと寄り道」 その10
今回は、前回の山岳事故データの続きで、中高年(当会の会員の平均年齢層でもある)の事故について分析してみる。
自分が若いころ(30~40歳代)と現状を比べたとき、下表のようでないでしょうか。
若いころに比べ多くなったもの 若いころに比べ少なくなったもの
時間的余裕 体力・持久力
金銭的余裕 バランス感覚・敏捷性
知識・経験 記憶力
事故の可能性を減らすには、表の左側を「財産」と考え、右側を「リスク」とした場合、財産を活用し、リスクを軽減することです。
それでは具体的に考えてみましょう。まず財産の活用例については、
時間的余裕 標準歩程の1.5~2倍の余裕を持った計画を立てる
泊り山行の場合は、早めに宿泊地に到着する計画を立てる
金銭的余裕 ガイドを活用する
余裕を持った計画を立てる(宿泊、交通等)
最新の軽量用具を活用する
知識・経験 荒天時は山行の中止、延期をする
リスクが高まりそうな場合は、山行の中止、エスケープする
となります。次に、リスクの軽減策は、
体力・持久力 ある程度の回復は可能ですので、日頃のトレーニング
バランス感覚・敏捷性 残念ですが、体力・持久力ほど回復は期待できません
でもひたすらトレーニングに励む
記憶力 回復は期待できません
デジカメ等機器を活用する
となります。
さらに重要なのは、自分の「身の丈」を知ることです。「自分はできる」、「自分は大丈夫」と安易に考えないことです。残念なことですが、自分はまだ若いと思っていても周りからみれば「それなりの年齢の人」ということです。
以前ミニ講習で紹介した長野県山岳遭難防止対策協議会がまとめた「岳(みんなの山登り十訓)」の中に、「その2:登りたい山より登れる山 自分に見合った山選び」、「その5:年齢考えひかえめ登山 過去の体力過去のもの」とあります。
先日運転免許証の更新時にもらった資料の中に役立つ項目がありましたのでご紹介します。それは、「○○だろう」と「○○かもしれない」の意識の持ち方の差。前者は「多分大丈夫だろう」、つまり安易な判断と過信。後者は「何かが起こるかもしれない」という危険の予測と危険の回避。ご参考に。