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西澤会長の 「ちょっと寄り道」 その12
教育部の皆様のご理解をいただき掲載させていただいた当コラムですが、筆者都合により今月と来月をもって終筆とさせていただきます。長い間お付き合いをいただきありがとうございました。
最後の2回は、ミニ講習でお話させていただいた内容をダイジェストでお伝えします。
【ミニ講習から】
最初に頭の体操から。国民の権利と義務って覚えていますでしょうか?
まずは権利から、国民の権利は「生存権」、「教育権」、「参政権」です。義務は「教育」、「勤労」、「納税」の義務ですね。翻って、当会の会員の権利と義務って何でしょう?
私は個人的に次のように考えています。大変ザックリですが、
権利 義務
山行に参加すること 山行に協力すること
会活動に参加すること 会活動に協力すること
意見を表明すること 会費を払うこと
となります。権利のキーワードは自由、制約、一方義務は責任となります。
ここで問題となるのが、権利と義務の関係です。義務を果たす一方で権利を主張するのが普通です。困るのが義務を果たさず権利のみを主張するパターンです。これはフリーライダー(ただ乗り)です。
当会は、山好きの社会人の同好会的組織です。会活動も山行も会員のボランティアで成り立っています。ですので、役員になりたくない、リーダーになりたくないということは会に所属している以上認められません。
おそらく、役員やリーダーを敬遠する方は、「私にはできない」「無理」「責任が持てない」等が理由でしょう。でも安心してください。他の会員、山行参加者にもあなたをサポートする義務があります。
この講習を通じて説明していきますが、山行リーダーの責任は決して重いものではありません。一度のリーダー経験は何よりも貴重なステップアップの機会です。積極的に手をあげましょう。それでは、今回のミニ講習のポイントを予めお知らせします。
○ 山の会の山行は、各自の自己責任である。
○ リーダーは絶対ではない。
○ 原則、リーダーが法的責任を問われることはない。
○ メンバーにもリーダーと同様の責任がある。
○ 会員である以上リーダーを担う義務がある
○ 10回の山行より1回のリーダー体験
まず、当会の位置づけについてです。当会は登山のプロやセミプロの集団ではなく、あくまでも趣味の、しかも素人の集団です。そして、当会で行われる山行は自主山行の位置づけになります。つまり、山行パーティーの一人一人が同様の義務と責任を負うことになります。
当会のような自主山行と学校登山やツアー登山、ガイド山行などの引率登山と何が違うのか?それはリーダーの責任です。なぜか。引率登山は、リーダーと参加者の間に、経験・能力、危険性を認識できる能力、危険を回避する能力に大きな差があり、リーダーへの依存度が違うからです。ですので、同じような事故であっても、引率登山と自主登山ではリーダーに問われる責任は全く違います。
ここで注意しておかなければならないのがツアー登山です。会社によってもかなりの差があると思いますが、ガイドの能力、質、特にリスクマネジメントに対する研修等どれくらいケアされているか注意が必要です。ツアー登山で事故に遭った場合は、しっかりデジカメ等で記録を残しておくことをお薦めします。
当会の山行は基本的にオープン制です。つまり、つまり会員であればその山行に参加する資格があるということです。ですので、仮に参加条件を付す場合は、その理由、内容等を明確にした上で山行募集することが重要です。
その一方で、注意しなければならないのは、コース、条件が難しく、「誰でもOK」とならないケースです。会での山行は基本的に自主責任ですが、技術面等で明らかに難しい場合で十分なトレーニング等を実施せずに初心者等を参加させた場合にはリーダーに法的責任を問われますので注意が必要です。
次に、具体的なリーダーの役割について考えたいと思います。
まず、リーダーは法的に見て「責任者」ではないということです。あくまでもコーディネーター役ということになります。
リーダーは山行の参加者を最終的に決めることになりますが、会の山行は原則としてオープン制ですので、参加を断る場合は具体的かつ客観的な理由を示すことが求められます。また、リーダーは山行を実施するかどうかの最終決定をすることになりますが、その際は参加メンバー、気象状況等を総合的に判断することになります。その際重要となるのがリスク回避の視点です。リスクが高いと判断した場合は躊躇なく「中止」とするべきです。
山行中、想定していた行程と著しく異なった場合やメンバーの不調等があった場合リーダーが「中止」等の判断をすることになりますので、常に行程を管理することが求められます。
(次号につづく)